You Only Haas Once: UC Berkeley MBA留学記

"You Only Haas Once" (人生でHaasは一度きり)という造語です。2017-2019年のHaas School of Business, UC Berkeleyでの生活や感じたことをつらつらと書いてみます。

Haasの授業について(Venture Capital & Private Equity)

2年生秋学期に取っている授業、Venture Capital & Private Equity。

これまでのHaasの中で一番知的好奇心が満たされ、おもしろい授業であった。

 

 

せっかく西海岸にいるのだからVCの授業は取ってみたい!という軽い気持ちでとってみたが、大正解。

授業名にPrivate Equityとあるが、カバーする内容は基本VC。( VCはPEの一部なので、この名前が付いている)。

内容としては、現役バリバリのベンチャーキャピタリスト複数名が教授として、VCの歴史、現在の市場環境、タームシートの作り方など、VCとしてやっていくために必要な知識をきちんと叩き込んでくれる。

何がすごいって教授がすごい。メインの教授はTerry Optendyk。30年以上前にOnset VenturesというVCを立ち上げ、今年は投資先のAdaptive InsightsがWorkdayに約1700億円で買収された。(ここでは書けないが、授業ではこの取引の裏話をオフレコで話してくれた)。

Workday、Adaptive Insightsを15億5000万ドルで買収へ - ZDNet Japan

 

また授業では、この教授のネットワークで集めた、さまざまなタイプのVC(新興国でのVC、新興系VC、CVC)の人がスピーカーとして来て、それぞれのVCの特徴や自分のキャリアについて話してくれる。具体的にはAndreessen Horowitz、NEA、Intel Capitalなど。上記の通り、軽い気持ちでとったものの、アメリカにおけるVCの全体像、業務、実態がよくわかり、またVCの方達と同じ言語で話せるだけの知識は身についたと思う。

 

新たな気づきとしては2つ。

1つ目は、各VCもそれぞれの戦略を考えながら戦っているということ。Softbank Vision Fundによる新たなExitの選択肢や、Andreessen Horowitz・500 Start Upsの台頭などスタートアップ環境は実は近年大きく変わっており、その中でVC自身も良いディールや投資家を見つけより多くのリターンを得るために競っているということ。

2つ目は、VCの仕事内容の泥臭さ。VCというと数打ちゃ当たるのドライな投資家というイメージがあったのだが、授業では「リレーションシップが全て」というコメントが何回も聞かれた。投資先(スタートアップ)との信頼関係、投資家との信頼関係、VC内での信頼関係がとても重要だと。VCは他の業界よりもクローズドな業界であるからこそ、意外にも人間臭い密度の濃い人間関係が(少なくともシリコンバレーエコシステムにおいては)あるのだなと感じた。

 

全く知らなかった業界、業務内容を一流の方(しかも複数)から学ぶことができて、Haasに来て改めてよかったと感じた。

 

ちなみにHaasの授業の履修は1000ポイントの手持ちポイントを取りたい授業に振り分けて、枠を超えた場合は、受講希望者が定員を超えた授業は、bidのポイントが大きい学生から順番に定員まで受講できるシステムになっており、この授業はとても人気で、最低750ポイント使わないと取れなかったが、その価値が十分以上にあった。